はじめに

薬剤師と処方箋

医薬分業の進展に従い、医療の現場ではますますその質的向上が問われるようになってきました。 医薬分業の質的向上を図るには、保険薬局・保険薬剤師がどこまで分業のメリット点をアピールし、ひいては患者に貢献できるかにかかっています。

これまで、処方せんを受ける際の基本的なノウハウは、開局薬剤師の間で十分に共有化されてきたでしょうか。 薬剤師はお互いの情報交換も少ないなかで業務を続けてきたのかもしれませんし、また、処方せんを応需し始めたばかりの薬剤師にとっては戸惑いもあるかもしれません。 なかには日々の業務のストレスなどから薬剤師転職について考えることもあるかもしれません。

このサイトでは、日々処方せんを応需し、調剤業務を実践している現役薬剤師の筆者が現場に密着した疑問点や悩みについてのまとめました。 薬剤師のみなさんが、処方せん応需の基盤をより充実させるとともに、日々の調剤業務を通じて持っている感想や抱える悩みなどを共有し解決していくための助けとなれば幸いです。

薬剤師に必用な情報源とは

処方せんを受けるにあたって、薬剤師が活用すべき医薬品等に関する情報源として大切なのは『治療薬マニュアル』や識別コード辞典など、自らが最も活用しやすい1冊をつくることです。

処方せんを受ける薬剤師にとって分類上、“必須のもの”と“あれば便利なもの”の二つに分類されると思います。具体的には、「治療薬マニュアル」1冊があれば十分という方もいますが、 ちょっとど忘れしたときに調べられる「今日の治療薬」、「何という薬か調べて欲しい」と言う患者さんの依頼に備えて識別コード辞典(「識別コード表一覧」『医療用医薬品識別ハンドブック」 『治療薬識別辞典」など)、同種同効品を探すなどのためには「保険薬事典」、「日本医薬品集」、あるいはバッグや白衣のポケットなどに入れて持ち歩ける「ポケット医薬品集」のほか、 「長期投与医薬品便覧」があれば事足りると思われます。

また、添付文書集とインタビューフォーム、さらには新製品に関してはメーカーから貰うにしても、昨今のように添付文書の改訂が頻繁に行われるなかでは、 活字媒体による添付文書集の収集では対応できず、近い将来、CD−ROMに取って替わられる可能性もあります。薬剤師会のなかには、同会が発行する添付文書集を購入しておかないと、 会営の備蓄センターを利用できないというところもあるようです。少なくとも、自局の備蓄品目数についてはすべて添付文書を持っていなければならないと思います。

処方通りに薬を出すレベルからの脱却を目指して

実際に薬を調製するという意味では、日本薬剤師会編の『調剤指針』『調剤指針注解』や『日本薬局方』、活用頻度はそれほど高くはないかもしれませんが、 薬剤の一包化や粉砕(老人用製剤)時に使う『錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック』なども必要でしょう。保険請求関連では、『保険薬局業務指針』や都道府県薬剤師会で出されている 『保険調剤の手引き』なども欠かせないところです。

さらに、今日のように薬剤とともに医薬品情報を文書で提供するような時代が到来しているなかでは、患者さんに医師と薬剤師のそれぞれの立場から、どのような説明をしたらいいかをまとめた 『医師・薬剤師のための薬の使い方と説明」(医歯薬出版)があります。また、「なぜ、この薬がこの患者さんに出ているか」の処方例を提示し、 1枚の処方せんに対する医師の処方意図を薬局側が捉える(察知する)訓練になる「処方せんを読む」(『F1経DI』連戦)という企画も登場しています。 薬剤師が処方通りに薬を出せばいいというレベルから脱却するためには、大いに参考になるものです。

このほか、在宅関連で在宅酸素や経腸・経管栄養など在宅に関連する薬剤師業務に関する情報(書籍)も必須になってきます。